Wiiを見ているとなぜか、遊園地の遊具を思い出す。幼い子供たちは、全身を使って動くことを喜ぶ。遊園地の遊具は、この子供たちの体を動かす喜びをささえている。Wiiもまた、体を動かすことで成り立つゲームである。遊園地の遊具が外にあるのに対して、屋内にあるという違いは別にして。当然ながら、Wiiが好評なのは理解できる。子供たちの体を動かす喜びがそこにあるからである。(「遊具か家電かパソコンか」参照)
もともとゲーム機は、子供たちが外で遊ばなくなった元凶とみなされている。しかし、ゲーム機を叩いたところで、社会がよくなるとは思えない。それは社会が「脳化社会」であるからだ。「脳化社会」という言葉は養老孟司氏によって伝えられた。詳しくは「脳化社会といじめ」に書いたことなのだが、人間は進化するたびに自分たちに都合のよい社会に作り変えていく。人間は自然を避けて都市を作り人工物に囲まれて生きていく。人工物であるから、ある程度の危険は予測できる。このような「ああすればこうなる」社会が「脳化社会」であるという。つまり、脳の中で作った社会が現実化しているというわけだ。
現実社会を見てみよう。体を使った職業(スポーツ選手は除く)はさげすまれ、頭を使った職業が尊ばれる社会ではないか。そのような「脳化社会」の典型がゲーム機なのだ。
「テレビゲームを皆さん嫌がっていますが、私は案外あれでいいんじゃないかという気がします。なぜかというと、バーチャル・リアリティー、仮想現実なんていっていますが、都市の中に住んでいる人間の現実は、いまとなっては仮想現実なのです。」(養老孟司著「まともバカ」だいわ文庫)
だが、人間であるから、生老病死は避けられない。
「生老病死は人間の自然です。生まれるときに親に相談を受けたことはないし、意識的に、予定して生まれたわけではありません。いったん生まれると日一日年をとる。そしていずれ病気になって死んでしまう。しかし、今の人はそれを意識から排除しているのです。都会ではこういうものは特殊なものと考えられています。」(養老孟司著「まともバカ」だいわ文庫)(生まれ変わるために自殺?)
しかも、子供は「自然」の産物であると養老氏は言う。確かに親の言うことを聞かない点では「自然」と同じである。「自然」であるから植物と同じように「手入れ」が必要だという。
幼い頃、体いっぱいで喜びを表現していた子も、学校に入り次第に「脳化」していく。やがて「あんなバカなことをしたくない」とか「子供っぽい」とかいって頭を使うことがいかにも大切なことかのように生意気になっていく。そうやって体を動かす喜びを失っていく。そうこの「体を動かす喜び」こそが子供の中に残っていた「自然」の萌芽なのだ。
Wiiとほかのゲーム機の違いは、その人間の「脳化」の深度を表している。「脳化」の深度が高いものは、よりリアルなグラフィックを求める。低いもの、つまりからだの中にまだ「自然」が残っているものは、Wiiで「体を動かす喜び」を味わうことができる。
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