「あるある」事件について2月5日、近畿の民放労連がこんな声明を出した。
「準キイ局」と呼ばれる在阪局は、少数ながらもゴールデン・プライム帯で全国ネット番組を放送しているが、その大半は、出演者確保などの観点から東京で制作せざるを得ない状況にある。その制作現場を省みると、看板番組とは名ばかりで、局の担当者はプロデューサーしかいなかったり、複数番組の掛け持ちを強いられたりと、極めてお寒い体制に寄りかかった番組づくりが平然と行なわれている。テレビ広告の優位性の低下が言われる中、民放経営者の関心は、収益基盤の多角化と経費の削減にある。いかに低コストで「使いまわせるソフト」を作れるかに腐心している。いうまでもなく番組はテレビ局の根幹である。それをコスト優先で丸投げにし、品質管理すらおぼつかないような体制で影響力の大きい番組づくりを進めてきたことのツケと言えなくもない。
くしくも関西テレビの記者会見では、「外国での取材がうまく行かず、制作者サイドが追い詰められたことも原因」という趣旨の発言がなされた。追い詰められた結果、捏造に走ったことは責められなければならないが、では、追い詰めたものとは一体何なのか。「発掘!あるある大事典?」に限らず、番組制作は、局から制作会社への外部発注が主流だ。下請け・孫請け構造の中で番組が作られることも珍しくない。この多重構造の中、現場は十分な時間と費用と余裕を持てないまま、局の要求に応え、しかも納期を守らざるを得ない状況にあったということになる。局側のスタッフが少ないからチェックの目が行き届かなかったというのは一面に過ぎない。委託先の制作現場がいかに過酷な労働環境にあることか。このことは以前から幾度となく指摘され、もちろん経営側も知っていた。にもかかわらずこれを他社の問題として放置し、改善を怠った「不作為の責任」は、厳しく指弾されなければならない。
一方、民放連はどうか。
(前文略)同文書ではまず、今回の事例が「視聴者に正確な情報提供がなされていなかったことは、視聴者の放送メディアへの信頼を大きく損ない、広告媒体としての放送に対する広告主の期待を裏切る結果となった」として遺憾の意を表明。さらに、『民放連 放送基準』第57条を補足する解説文で、“ダイエットを含む健康情報を番組で取り上げる際の留意点”として、(1) 科学的根拠の尊重、(2) 正確な情報提供、(3) 身体の影響への配慮などについて細心の注意を払う旨を明記していることなどを挙げ、改めて、放送基準の遵守・徹底、番組チェック体制の整備をはじめとした“放送倫理マインドの向上”について、社内関係セクションはもとより、番組制作会社等に周知・徹底するよう要請しました。
民放連があまりにも表面的に処理しようとしているのに対し、民放労連はより現場の問題に触れようとしている。当然といえば当然のことだが。
しかし、民放連の声明は各メディアが載せているのに対し、民放労連の声明に関して、載せているメディアはほとんどない。「あるある」問題がテレビ局の構造上、起こるべくして起こる問題である。決して、「あるある」が一部のモラルなき人間によって作られたこととして済ませられる問題ではないことは明白である。しかし、そのことに触れた声明を隠して表面的につくろって事足れりとするならば、第2・第3の「あるある」が登場することは間違いないのである。
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ドンさん、コメントありがとうございます。確かに、あらゆる業種に共通していますね。大きなヒントをいただきました。